2018年08月05日

資産家通信(20) 土地を売却したら終わりなのか

わたしのお客さんは、ほとんどの方が年配です。祖父母くらいの方も大勢見えます。そういった方たちに、仕事を通していろいろな価値観や考え方を教えていただきました。最先端の情報や手法を学ぶために東京で行われている資産税の研修を定期配信で受講していますが、わたしのコンサルのほとんどは、実体験とお客さんから教えてもらったことで構成されています。

10年ほど前、私が地主さんの相談をはじめた当初、ほとんどの地主さんは、先祖伝来の土地を売却するという考えはなく、売却のお話しさえ、あまりしてはいけない様な雰囲気でした。
その様な中で、何件も不動産の売却をお手伝いさせていただいた地主さんがみえました。わたしがなぜ売却するのか尋ねたところ、
「農業は十分してきたが、時代が変わった。今後土地を所有していくのは大変。今は、孫に教育費がかかっていて子どもが大変。土地という資産を教育に変えて生前に渡す。」
と教えて頂きました。その方は、土地を売却して、贈与税がかからない110万円の範囲で何人ものお孫さんに贈与していきました。
わたしはその話を聞いて、資産=不動産とは限らず、資産とは、その方や家族を豊かにするものなんだと感じました。もし、その不動産が家族に問題を起こすようなものなら、それは負債なのかもしれません。資産とは時代や家族によって形を変えます。

一時期は、その方とその方のどの家族よりもたくさんお話ししていたと思います。
その方の言葉は、今でもわたしの中で資産となって残っています。

その方は亡くなってしまいましたが、本日、その方の息子さんから仕事のご依頼をいただきました。


2018年08月04日

資産家通信(19) キャッシュフローいろいろ

実務上、収益物件のキャッシュフローといっても様々の意味で使われています。

・収益100
 →100
・収益100-修繕費・管理費10
 →90
・収益100-修繕費・管理費10-固都税7
 →83(NOI)
・収益100-修繕費・管理費10-固都税7-資本的支出12
 →71(NCF)
・収益100-修繕費・管理費10-固都税7-借入金返済50
 →33
・収益100-修繕費・管理費10-固都税7-資本的支出12-借入金返済50
 →21

全く違う数字のことを同じ言葉で話しているので、どの数字のことを言っているのか意識する必要があります。
ちなみに、所得税は個人によって税率は異なるので考慮されないことがほとんどです。


2018年08月04日

資産家通信(18) 賃貸物件の消費期限とキャッシュフロー

比較的多い相談に中に、建築業者さんから「そろそろ借金も完済なので、建替えどうですか」「空室も多くなって、修繕費もかさんできて大変ですよね」「相続税も節税になりますよ」と言われているが、借金もしたくないし、どうしようという相談があります。

賃貸物件の消費期限は、税法上の減価償却期間ではなく、ましてや借入期間とは全く関係ありません。借主さんが決めることです。
借り手がいる以上は、その物件には、賃貸物件としての価値があるということです。建築基準法の旧耐震等により安全性が確保できていないことなどを除けば、需要がある限り賃貸物件の寿命は続いていると考えられます。
生活に影響を及ぼすような構造部分や建物の躯体*に多額の修理が必要になってくる場合は解体も検討する必要がありますが、設備交換等の資本的支出と構造部分の経年劣化は区別して考える必要があります。

修繕費がかさんできても、借金を完済すれば手残りはかなり多くなる方がほとんどです。修繕費や空室に意識がいってしまいがちですが、最終の手残り(キャッシュフロー)を意識してください。相続税がそれほど多くない方は、そのキャッシュフローを数年貯めるだけで、節税対策しなくても納税資金が準備できます。

※躯体:建物の構造を支える骨組みのこと。


2018年07月30日

8/19セミナーの締切のお知らせ

8/19開催予定のセミナーですが、現時点で50名を越えるお申込みいただきました。ありがとうございます。
二度にわたる会場の変更をさせていただきましたが、今回はこれで締切とさせて頂きます。
今回のセミナーの重要部分の復習も致しますので、ぜひ9月のセミナーにご参加ください。


2018年07月29日

資産家通信(17)パンツははいている様ですが安心はできません

建築費の高騰もあって、借入期間を長くすることがあるようです。30年の返済期間では収支が合わないとなると「安心してください。借入期間を35年にすれば大丈夫です」と言った人がいましたが、全く安心できません。
極端な例として、1億円借りて、金利2%の場合、
返済期間20年 年間支払額600万円 総支払額1億2000万円
返済期間35年 年間支払額400万円 総支払額1億4000万円 です。

というか金利よりも、賃貸物件には築年数の経過による賃料の下落、空室、修繕費の増加、減価償却終了による所得税の増加等、築古の問題が山積みなので、築25年までには完済するつもりでいた方が良いと思います。




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