2022年10月29日

テナントリテンション

この地域の賃貸物件におきましては、ここ10年、賃貸借契約の初期費用を抑えるために、礼金といものがほとんどもらえなくなり、この文化がこのまま消滅するのかと思いましたが、最近、築浅、好立地物件で少しづつ息を吹き返しているようです。大家さんにとっては入退去時の収入が少し増えるという傾向で喜ばしいことですが、昔の退去時の様に、敷金礼金をもらっていて、原状回復費用の大部分を借主さんが負担してくれて、入退去があると大家さんは収入が増えるかもみたいな状態とは程遠く、退去があればほとんどの場合、大家さんの出費はかさみます。

また、社会的ニーズは年々高まっていきます。例えば、「チャイム→インターホン→モニター付きインターホン」みたいな感じで賃貸物件の全ての設備のスタンダードがどんどん上がっていくので、既存入居者さんが退去されるとこういった設備の交換や追加にもお金がかかります。

こうした状況の中で「テナントリテンション」というものが、より効果を高めています。テナントリテンションとは日本語で「入居者保持」と言い、あまりしっくりこないかもしれませんが、これも営業手法の一つとなります。空室になってしまった部屋に何とか入居してもらおうとがんばる営業ではなく、既存の入居者の満足度を上げ、長期で住んでもらうことで、転居時の補修費を抑え、空室損を抑えることによって安定的な収益を確保します。

具体的には、外壁塗装等の定期メンテナンスをきちんと行った上で、定期清掃を増やしたり、入居中のお部屋だとしてもインターホンをモニター付きに変更したり、宅配ボックスをつけてあげたりします。

常々お話ししているように賃貸物件は、ほったらかしの「運用」で長期にわたってうまくいった時代から、適宜、適切な判断をしないと長期的にうまくいくことが難しい「経営」となりました。

所有されている賃貸物件は、確かに以前は支出を抑えることで手残りを増やせました。しかし、今は、安定的に収益を確保するために適宜投資判断が必要です。そして、その資金を準備しておくために長期運用計画が必要です。




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