2023年04月15日

受け継いだ資産額以上のものを次世代に残すことはできるのか

受け継いだ資産額以上のものを次世代に残すことはできるのか こんにちは。野村開発株式会社資産コンサルティング家 山本です。
ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
2023年4月22日(土)開催予定のセミナーに向けて、皆さまに知っていてほしいことをお伝えしてまいります。

 

 私は常々、相続対策の優先順位として「節税の優先順位は低い」とお話ししております。これだけ聞くと、資産に応じて納税し、相続のたびに先祖伝来の資産が減少していくのは仕方ないという方針でコンサルティングをしていると思われるかもしれません。実は全くそうではなく、相続対策として「受け継いだ資産額以上のものを相続税納税後に次世代に残せるか」ということも非常に重要視しております。

そのうえで、資産を残すという観点から考えても、相続税の節税の優先順位は低いと考えているということです。

それでは、「受け継いだ資産額以上のものを次世代に残す」ために、私が何を重要視して、何を評価基準としているかというと、「ROA」という指標です。

「ROA」とは「総資産利益率」のことです。これは専門家により定義の仕方が異なり、また株式指標の定義とも異なりますが、私が地主さんのコンサルティングで利用する際の定義は、分子に「税引き前収支」、分母に「相続税評価額」として利益率を測っています。

  たとえば、相続税評価1億円を受け継いでおり、10年後の相続、相続税率20%と仮定してA:ROA1%(1億円×1%=100万円/年)とB:ROA10%(1億円×10%=1000万円/年)を比較してみましょう。利回り10%は非現実的な仮定ですが、ROA10%の物件はザラにあります。

A:ROA 1%の不動産  1億円+(100万円×10年)=1億1000万円

     △相続税(1億1000万円×20%)2200万円→「8800万円」

B:ROA10%の不動産  1億円+(1000万円×10年)=2億円

     △相続税(2億円    ×20%)4000万円 →「16000万円」

 Aの場合、10年後に相続が発生すると、それまでの収益を一切使わなくとも、次世代に同じ1億円として引き継ぐためには、さらに1200万円捻出しなければいけません。これでは何のために資産を維持していたのか分からず、自分たちが使ったわけでもないのにもかかわらず、相続のたびに資産を縮小させていくことになります。これが地主さんの財産が「三代の相続で財産は無くなる」と言われる一因です。

ここで着目すべきはより多くの資産を次世代に残すことができるBの方が相続税をよりたくさん払っているという点で、「受け継いだ資産額以上のものを次世代に残す」ためにも、節税の優先順位は低いとお話ししている理由です。

さらに実務としてこれが問題なのは、Aのような物件やAのような状態は問題が顕在化されず、放置されがちであるということです。

 

不動産を、「富」動産、「負」動産、「浮」動産と分けて考えることがあります。

「富」動産、「負」動産はとても分かりやすいですね。

富動産:潤沢な収入が入り生活を豊かにしてくれる不動産(ROAが高い)

負動産:固定資産税や草刈り等の出費がかさみ、運用も売却も困難な不動産

ということで、問題が明らかなので、何か対策を講ずべき対象と認識しやすい不動産です。

問題は「浮」動産です。一部のROAが低い駐車場等のように、所有している時点では問題が顕在化されず、相続まで考えた線で考えなければ問題が浮き彫りにならないため、そのまま放置されてしまいがちです。

もちろん相続対策として考えた場合、資産全体のROAを上げていく必要があります。この場合、ROAの高い資産を増やしていくというアプローチより、重要なことは、「負」動産、「浮」動産の売却や資産の組み替え、適正化を優先的に考えます。

たとえば、自宅はROAがマイナスとなります。特に地主さんは200から300坪以上の自宅敷地であることがあります。資産全体のROAを考えた場合、自宅からの支出の問題よりも、ROAの定義上、分母となる資産(この場合相続税評価額というより時価)の有効利用できていないということに問題があり、これもROA観点上相続対策の大きな問題であり、顕在化されにくい問題のひとつです。

もちろん自宅は住まいなので、人生の質を考慮する必要があり、ROAだけを考えてどの様にするかを決めることはできませんが、必要以上に大きい自宅敷地である場合は、長期の家族計画として、どの様に適正化していくかを検討しておく必要があります。大きすぎる自宅は相続対策上も、維持していくという観点からみても大きな負担となります。

資産を色分けして整理しましょうと何度も繰り返しお伝えしている理由は、上記の考えの出発点となるからです。

それでは資産全体のROAをいかに上げるかを評価基準として、突っ走れば良いのかというとここには大きな落とし穴があります。相続対策より重視すべきこととお伝えしている「生活」を破綻させてしまう可能性があります。ROAを追及していくにあたり、何に注意していくべきか、何を追加指標とすべきかについては、今回のセミナーでお話しさせていただければと思います。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
セミナーのご参加、お待ちしております。
ご質問や個別相談も無料で承ります。
お気軽にご連絡ください。
野村開発株式会社 山本令祐

付言から始める相続対策セミナー
日程:2023年4月22日(土)10:
00より
会場:知立市商工会館2階大ホール
※一部お渡ししているパンフレットには、知立市中央公民館と表記がございますが、
都合により、知立市商工会館に変更いたしました。
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