2024年03月08日
当社は不動産の賃貸、売買、管理のみならず、賃貸物件建築、駐車場、住宅用定期借地、事業用定期借地等あらゆる不動産活用をご提案もさせていただいております。
今回は賃貸物件建築のご要望いただいた際に、当社コンサル部門がどの様な評価基準でご提案しているかの一部をご紹介させていただきたいと思います。
賃貸物件建築の際、最も確認すべきことは相続税がどうなるかではなく、賃貸運用に問題がないかです。借入の返済期間の30年~35年を通して返済に問題ないか、空室にどれだけ耐えられるか、意外にもこの2点さえも確認せずに建築されている場合があります。
そこで今回は、CPM(米国不動産経営管理士)の指標であるキャッシュフローツリーをご紹介します。ややこしいので少し簡略化しますが下記の様なものになります。
GPI(総潜在収入) :100
EGI(実効総収入) :95 ※ざっくり空室率△5%。
OPEX(運営費用) :△18
NOI(純営業収益) :77
ADS(元利返済額) :△53 ※返済期間30年
BTCF(税引前キャッシュフロー) :23
上記の数値を算出したうえで、賃貸運用の健全性を確認します。具体的には大きく2つ、借入金の返済に問題がないか、空室率に余裕があるかを確認します。
借入金の返済に問題がないか=DCR:NOI/ADSで算出。1.20以上ならOK。
今回の物件の場合、77/53=1・45のためOK
空室率に余裕があるか=BER:(OPEX+ADS)/GPIで算出。70%以下ならOK。
今回の物件の場合、(18+53)/100=71%のため若干空室率の余裕なし。
DCRとBERを算出した上で、次世代の方にも安心して所有し続けていただける物件とするために、今回の物件では頭金を入れていただきました。さらにDCRとBERの性質上の返済期間を長くすれば安全率は高まりますが、リスクを間延びさせないためにも返済期間は35年でなく、30年とさせていただきました。
直接建築業者様ではなく、コンサル部門にお問い合わせいただくことで様々な建築業者様の特色をお話しした上で建築業者様を選定していただき、建築業者様の提案のみならず、管理会社視点でのアドバイスをさせていただきことが可能です。昨今の建築費高騰状況でのフルローンでの建築の場合、DCRとBERが良くない場合、建築をおすすめしないということもありますが、賃貸物件建築の目的をよく考えていただき、ご検討していただければと思います。
なお、DCR、BERは、ご所有中の賃貸物件からも算出することができますので、興味がある方は一度算出されてはいかがでしょうか。