2023年08月07日

地主さんの自宅売却(1)

地主さんにとって先祖伝来の土地を売却する、それはとても大変なことです。一昔前はそれを口に出すことさえタブーとされていました。ましてや先祖伝来住み続けてきた自宅を売却するということは物凄くエネルギーが必要な決断です。決断される方は、みなさん聡明で、過去に感謝しつつも、未来に目を向けられており、尊重されるべき決断だと考えています。

近年、このようなご相談や決断をされる方が増えてきましたので、この点に関してお話ししたいと思います。

時代とともに価値は変わっていきます。セミナーでよくお話ししていることで、かつて先祖伝来の田んぼを売ってしまう人のことを「田分け者」と言いました。それは一時的なお金を得るために、生活の生業であった田んぼを売ってしまうことで今後の生活が成り立たたなくなる可能性が出てくるためです。時代は流れ、農業を生活の生業としなくなった地主さんのご自宅はかつて農業用倉庫等があった時と同じように大きいままです。大きな敷地は固定資産税の支払いや維持管理が大変ですが、農地等であった別の土地の運用で賄ってきました。ただし、今では相続税の支払いや遺産分割等による資産の分散で跡継ぎに残す収入を生む不動産が減ってきており、大きな自宅を維持するには、サラリーマンでは大きな負担となってしまいます。

実際、税制面に関して、土地の面積が大きくなればなるほど、維持していく面でも、相続で受け渡す面でも、割高になってしまうのです。

不動産を維持していく面の固定資産税は、ざっくり言うと、約60坪を超えると単価が倍になってしまいます。

次世代へ受け渡す面での相続税の自宅敷地の評価は、諸条件はありますが、△80%の20%となります。これも100坪を超えた場合は適用がありません。

つまり、税制では単純に面積で判断して、60坪、100坪を超える自宅敷地を持っている人はお金持ちなので税の軽減はしなくて良いという判断なのです。

それでは、時代にそぐわなくなってきた大きな自宅敷地を一部売却しようということになりますが、ここで税金以上に注意すべき、不動産の特質があります。この点に関しては、次回お話しさせていただきたいと思います。




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