2023年09月26日
前回のブログで地主さんの大きな自宅が次代にそぐわなくなってきて、負担になってきた方が多い旨のお話しをしました。
私が地主さんのコンサルをする上で、重要視してるものの1つとして、その方やその方の家族にとって「心地良い資産の持ち方はどういう持ち方か」というものがあります。
これは、私が不動産業会で働く始めて間もなく、リーマンショックがあり、それから数年間、賃貸市場が悪化し、資金繰りの心配をする地主さんをたくさん見てきたということも大きく影響していると思います。
「BS(バランスシート)リッチ、PL(プロフィット・ロス)プア」という言葉を聞いたことがありますか? これは、地主さんが保有する資産は豊富でも、収益が厳しいという状況を表す言葉です。これをもう少し乱暴にかみ砕いて言うと、「相続税は高いが、生活はそれほど豊かにならない」ということになります。
地主さんが「BSリッチだが、PLプア」と言われる所以は相続対策による賃貸物件の建築が要因のひとつです。
また、相続税節税目的での賃貸物件比率が高い地主さんは、借入が多いために特に資金繰りが厳しくなることがあります。
そういった面で、何度もお話ししているように相続税の節税をメインとしたこの業界の相続対策に疑問を持っています。
自分のいなくなった後の相続対策をして、自分が生きている間の生活の心配事が増えるという対策には疑問があります。しかもこのような対策は結果的に次の世代まで連鎖し、同じことの繰り返しです。いつも言うように、「相続対策は世代を越えて生きている人を豊かにするもの」でなくてはいけません。
運用や投資の健全性は、私が指摘することができますが、「心地良い資産の持ち方」に関しては個人差が大きくあります。借入を負担に感じる人も、あまり負担に感じない人もいます。
自分や家族にとっての「心地良い資産の持ち方」というものを模索する必要があります。世代間格差がありますので、できれば家族と相談しながら。このことの方が数百万円相続税を節税するよりよっぽど重要です。