2018年08月04日

資産家通信(18) 賃貸物件の消費期限とキャッシュフロー

比較的多い相談に中に、建築業者さんから「そろそろ借金も完済なので、建替えどうですか」「空室も多くなって、修繕費もかさんできて大変ですよね」「相続税も節税になりますよ」と言われているが、借金もしたくないし、どうしようという相談があります。

賃貸物件の消費期限は、税法上の減価償却期間ではなく、ましてや借入期間とは全く関係ありません。借主さんが決めることです。
借り手がいる以上は、その物件には、賃貸物件としての価値があるということです。建築基準法の旧耐震等により安全性が確保できていないことなどを除けば、需要がある限り賃貸物件の寿命は続いていると考えられます。
生活に影響を及ぼすような構造部分や建物の躯体*に多額の修理が必要になってくる場合は解体も検討する必要がありますが、設備交換等の資本的支出と構造部分の経年劣化は区別して考える必要があります。

修繕費がかさんできても、借金を完済すれば手残りはかなり多くなる方がほとんどです。修繕費や空室に意識がいってしまいがちですが、最終の手残り(キャッシュフロー)を意識してください。相続税がそれほど多くない方は、そのキャッシュフローを数年貯めるだけで、節税対策しなくても納税資金が準備できます。

※躯体:建物の構造を支える骨組みのこと。


2018年07月28日

資産家通信(11) せめて不動産の問題だけは解決させる

遺産分割で揉めている場合、これは長期化するなと感じるポイントがあります。それは、お互いの粗探しや悪口合戦が始まった時です。不動産が上手く分割できなかったり、不動産の評価が色々あったり、売れない不動産や赤字の不動産があったりで、あーだこーだ言っているうちに、あいつだけ小遣いを多くもらっていただとか、昔こんな事があったという話になります。

最初は資産に焦点が当たっているのですが、いつの間にか人格批判に変わっています。こうなったらほぼ長期化確定です。というか10ヶ月の納税期間内に遺産分割協議がまとまらない場合は、塩漬けになることが多い様に感じます。

普通に過ごしているだけなら特にケンカにならず、平和に暮らしていたであろう関係は、相続によって問題や不満があぶり出され、崩壊しえます。

資産と不動産をうまく分けられる様にして、誰に渡すかを決めて、せめて不動産の問題だけは解消してからあの世に行きましょう。


2018年07月21日

資産家通信(6) 相続対策の優先順位

相続対策の優先順位は
(1)分割 争族対策
(2)納税
(3)節税
です。

相続税の節税対策が、わたしども不動産業者含め、様々な業者の利益に繋がるのでピックアップ
されがちですが、対策すべき優先順位は上記となります。
相続税が節税になっても、納税できなければ失敗ですし、
相続税を節税させて、納税もできたとしても、子どもさんがケンカして絶縁してしまっても
失敗です。

最近は⓪として、生前対策と言われるようになってきました。これは高齢化が進み、認知症
増えてきたことによる事前対応が必要ですよということですが、わたしが考えるもう一つの
生前対策として、節税を強調した安易な収支予測の建築による地主さんの生活苦対策が必要だ
と考えています。


2018年07月19日

資産家通信(3) タックスドリブン

タックスドリブンとは、「税金主導」と言われ、税金がどうなるか分からなければ誰にも実行
されないことを言うようですが、税金を根拠とすると多くの方が不用意に実行してしまって
いる様に感じますし、市場もその「税金主導」を強調して実行に誘導してしまっている様に
感じます。

・節税になったとしても子どもさんが揉めて、相続時に分割ができなくなってしまっても
 良いのでしょうか。
・節税になったとしても納税出来なくなってしまって良いのでしょうか。
・節税になったとしても赤字の物件を次世代に引き継がせて良いのでしょうか。
・所得税対策になったとしてもキャッシュアウトしてしまう様な投資は本末転倒です。

地主さんや資産家の方にとって、売買、贈与、同族間取引、民事信託にしても、様々な面で
税金のリスクを加味する必要がありますが、税金に振り回されてしまったら失敗します。




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