2018年09月15日

資産家通信㉘ 仲介手数料

前回のブログで「私は不動産の取引時価がもっとも重要だと考えており、不動産の取引時価のもっとも近くにいる不動産業者として相続コンサル、資産コンサルを行っています。」と書きましたが、不動産の取引時価は取引ができるまでは厳密には分からず、一定の幅があります。

特に分譲住宅業者さんが主な買主となる様な地積規模が大きな土地の査定をする時は頭を悩ませます。近隣事例比較法により一宅地の相場はある程度把握できるのですが、分譲業者さんによって得意とする区画割や造成の仕方が違うので、買取価格に大きな差が出ることがあるためです。

数年前に取引させて頂いた刈谷市の土地では、二方向道路で四角形にもかかわらず、買取価格の一番低い業者さんが7000万円で一番高い業者さんが11000万円でした。
これは常にどこかの分譲業者さんが高く購入してくれるという訳ではなく、前述した様に業者さんによって得意不得意があるためです。

不動産業者に頼むと、仲介手数料が取引価格の3%+6万円かかるので、直接、分譲業者さんや土地の買取業者さんに売却したいと思われる方もいらっしゃると思いますが、市場の上限価格で売却できるとは限りません。
ましてや一般の方とプロの取引なのでなおさらです。


2018年09月14日

資産家通信㉗ 一物四価

一物四価とはひとつの土地に4つの評価が存在することを言います。
(1)公示地価    :公的収用や民間取引の基準(国交省)
(2)路線価     :相続税評価(国税庁)
(3)固定資産税評価額:固定資産税評価(総務省)
(4)実勢地価    :取引時価

この評価の違いは気をつけないと大きな失敗を招きます。例えば、相続税を節税するための対策は、もちろん相続税評価で考えますが、相続税評価が下がったとしても、時価まで下げてしまう対策があります。優先すべき相続税の納税対策は時価評価で準備しなければいけないので節税対策にはなったが、納税できないという可能性もあります。
この観点から、私は不動産の取引時価がもっとも重要だと考えており、不動産の取引時価のもっとも近くにいる不動産業者として、相続コンサル、資産コンサルを行っています。

他の士業の方のコンサルとの違いとしては下記3点を重視していることです。
(1)不動産の時価
(2)不動産運用のキャッシュフロー(賃貸経営、生前の生活)
(3)付言(大切なものは何か考えていただく)


2018年09月13日

資産家通信㉖ 横から見ると四角、上から見ると丸

賃貸物件の運用を賃貸経営とした場合、建築される地主さんは社長の様なものです。社長は意思決定をし、それに伴う責任を負わなければいけません。そして、建築にしろ、建て替えにしろ、その意思決定に際し、様々な立場の人が様々な視点から助言してくれます。

不動産業者であれば売却した方が良いというかもしれませんし、金融機関さんはなるべく大きな借入をする立派な建物を建ててほしいと思うでしょうし、建築業者さんもなるべく大きくて立派な建物を建ててほしいと思うと思います。税理士さんはその建築による相続税の変化を教えてくれるでしょうが、もっとも重要であるはずの賃貸経営の助言をする人はほとんどいません。

不動産管理業者である当社の社内でも、立場の違いによって意見に偏りがあります。建築提案を行う担当者はどうしても設定賃料を高くつけたいと思いますし、物件を入居者さんに紹介する賃貸仲介の担当者は設定賃料を安めにしたいと思います。建替えに関して、物件管理の担当者は補修個所や設備交換が多くなると早く建て替えをした方が良いと思うものです。

立場の違いによって、それぞれの見解が異なることは当然で、それぞれの意見を聞くことは重要です。その中で総合的に判断する必要があります。四角だと思ていたものは実際は円柱なのかもしれません。
特定の人に判断を委ねて意思決定しても構いませんが、その責任はすべて自身が負うことになります。

参照:資産家通信(13) まともな人とまともじゃない人
https://www.smile-shisan.com/blog/v/16/

参照:資産家通信(18) 賃貸物件の消費期限とキャッシュフロー
https://www.smile-shisan.com/blog/v/22/


2018年09月11日

資産家通信㉕ 運用→経営になったことによる分割の注意点

不動産の活用は、ほったらかしにしておいても何とかなった運用という意識から、気をつけないと破産しかねない経営という意識を持つ必要が出てきたと思います。

いくつかの不動産をお持ちの地主さんは、複数の物件で不動産経営のバランスを取られている方が多いです。儲からない物件を儲かる物件で補てんしていたり、借金がある物件の保険として、売却しやすい物件を所有されていたり。

こうなると分割は更にややこしくなります。単体の物件が赤字であったり、それだけではリスクが高すぎる場合は、単体で相続させる訳にはいきません。その不動産がある程度の価格ですぐに売却できるのであれば良いのですが、不動産の場合はすぐに売却できない場合も多々あります。

通常の地主さんの相続では、資産額の割合は考慮されますが、相続後のキャッシュフローや賃貸経営の健全性を考慮することはあまりありません。

わたくし、財産分析というものをやっておりまして、それをやって頂ければ、相続後のキャッシュフローや賃貸経営の健全性を把握することができます。(有料)

財産分析
https://www.smile-shisan.com/zaisan/


2018年09月10日

資産家通信㉔ 賃貸or持ち家

賃貸の方が良いのか、持ち家の方が良いのかという話は良くありますが、不確定要素が多く、個別格差も大きいので、一概にはどっちが良いとは言えません。また、このような話になると、売るつもりはないから関係ないとおっしゃる方も見えますが、少し私の見解をお伝えしたいと思います。

日本国内の建物は、一度住むと価格が下がり、築年数の経過と共にどんどん価格が下がっていきます。近年では行政が中古住宅の価格を維持しよう動いてくれていますが、日本では新築志向が強く、一部のマンション以外の住宅の価格は築年数と共に下落していきます。ちなみにアメリカでは建物価格はあまり下がらず、買った値段くらいで売却出来たり、買った値段より高く売れたりすることもあります。

次に、賃貸の賃料は経費であり、住宅ローンの支払いは負債であることをきちんと認識する必要があります。賃料の支払いは使った分の利用権の支払いで、住宅ローンは借りたお金を払い続けなければいけません。賃貸であれば、家族の数の変化、収入の変化、勤務地の変化、住環境等に合わせて、その時に合った物件を借りることができますが、住宅ローンは一度借りるとどんな変化があったとしても返済し続けなくてはいけません。万が一返済が困難になり、売却する場合は、物件の価格が下がっているので売却しても借金だけが残ってしまう可能性があります。

上記のことから、ありきたりな結論ですが、住宅ローンを借りるとしても、一生に一度の買い物だからと無理はせず、余裕のある返済計画で購入できる住宅にしましょう。

夢のマイホームだという気持ちも分かりますが、住宅ローンのために家族で過ごす時間を減らさなくてはいけなくなるようでは本末転倒な気がします。
建物というモノだけに夢を見出すのではなく、家族と過ごす時間にこそ夢を見出す必要があるのではないかと思います。

※新築で購入する場合、収益価格から経済合理的に考えると、ほとんどの物件は賃貸の方が有利ですが、地方で特に戸建の場合、購入する戸建と同等の賃貸物件はほとんどないため、これも賃貸の方が良いのか、持ち家の方が良いのかという論争を複雑にしています。

追記
購入する物件と同等の賃貸物件がない以上、クオリティオブライフと言われるような人生の質を向上させるためには住宅の購入が必要な場合もあると思います。購入物件だからこそある設備や構造、子どもさんがいらっしゃる場合の音の問題等。
ただし、資産価値が棄損されるという前提があるのなら購入物件も賃貸物件同様に対価を払っているという認識を持ち、その利用権や質に対して高すぎないかは検討する必要があります。




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