2018年11月13日

資産家通信㉛ 問題をなくすつもりで問題を作っている

相続に関して、事前に対策をしておくようにとお話ししていますが、実務上の問題として相続がいつ発生するか分からず、またその際、どのような状況になっているか分からないので細部まで決めきれないということは多々あります。現段階では跡継ぎさえも決めきれないという場合もあります。
また市場がどうなるか分からないという前提であれば、不動産活用を考える際は、なるべく柔軟な対応ができる状態にしておくことが望ましいと言えます。

しかし、こうった状況で相続対策を考えようとすると節税対策のみに走ってしまう場合が多く、これは、分割等、ややこしいこと考えなくてよく、一見、表面上はみんなにとって良い対策であると見えるためですが、分割の柔軟性をなくし、また、不動産運用の柔軟性をも失っていることが多々あります。
相続対策をしているつもりで、相続の問題を作ってしまっています。

資産家通信(3) タックスドリブン


2018年10月21日

資産家通信㉚ トヨタ経済圏の不動産

当社は愛知県の知立市で営業しており、隣接した自治体は豊田市、刈谷市、安城市となります。トヨタ自動車関連の企業が豊富にあり、子会社や孫会社だけではなく、あらゆる業種がその恩恵を受けています。私どもの不動産業も例外ではなく、好調で、他の都道府県の不動産業者の方とお話しさせていただいても、この地域は良い市場であると感じます。

この地域の不動産市場を予測する場合、「国立社会保障・人口問題研究所」の資料が引用され、この地域は2040年でも人口が減ってないので大丈夫だと言われることがありますが、私見としては大丈夫だとは言い切れないと思います。

前述の通り、この地域は不動産業にまで影響を与えるトヨタ経済圏です。地価の上昇理由としても自宅を建築するのために土地を購入される一般の方も与信力が高い(安定した企業に勤めているので借金をする力が強い)ことがあげられ、トヨタ自動車の関連企業、子会社、孫会社での雇用の確保、またそこで働いている方の需要を満たすためのあらゆる業種で雇用を確保しているため人口が微増し、地価も好調となっています。

しかし、過去を振り返れば、リーマンショック後のトヨタショックにおいては、マイナスの意味で強く不動産市場も影響を受けました。それまで2~3%で推移していた賃貸物件の空室率は一時17%程度になり、それに伴い賃料も下落しました。

自動車のことは専門ではありませんが、この地域において、この雇用を維持していくことができるのでしょうか。自動車が電気化してくると、一台の自動車を製造する部品の数が少なくなると聞きます。金属加工等の需要は継続していくのでしょうか。仮にトヨタ自動車のみが強くてもその業種のやり方が変わった時に、関連企業の雇用が確保できるとは限りません。東京に様々な業種があれば平均化しますが、一業種に頼った地域は、その業種が傾けば全体が傾いてしまいますし、業種のやり方は変われば強く影響を受けます。どの地域にも言えることですが、20年間、30年間大丈夫ですと言い切れる地域はないと思います。

人口予測は雇用状況等含めた現状が前提で予測されています。もしその前提が崩れれば人口の予測は大きくはずれ、不動産市場にも大きく影響を与えるでしょう。


2018年09月18日

資産家通信㉙ 借入=相続税節税対策ではない

「借金をすると相続税が安くなる」「借金を返すと相続税が高くなるから返さない」という方が見えますが、これは誤解です。
不動産における相続税の節税方法は、すべて不動産の取引時価と相続税評価の乖離を利用しているだけです。
金融資産は額面通り判断されます。つまり1億円現金を持っていれば相続評価も1億円となりますし、1億円の借金を持っていれば相続評価もマイナス1億円となるので、金融資産が相続税額に影響することはないのです。
賃貸物件の建築により相続税を節税させる場合、借金を1億円して建築される方も、現金1億円で建築される方も節税効果は同じです。
地主さんは比較的に金融資産が少ない傾向がありますが、賃貸経営の改善を相談される方の中には現金をたくさん持っている方も見えます。借金を返すと相続税が高くなると勘違いされている方も見えますが、前述の通り関係ありませんので、その現金を使う予定も運用する予定もない方には、借入金の返済をお勧めしています。


2018年09月15日

資産家通信㉘ 仲介手数料

前回のブログで「私は不動産の取引時価がもっとも重要だと考えており、不動産の取引時価のもっとも近くにいる不動産業者として相続コンサル、資産コンサルを行っています。」と書きましたが、不動産の取引時価は取引ができるまでは厳密には分からず、一定の幅があります。

特に分譲住宅業者さんが主な買主となる様な地積規模が大きな土地の査定をする時は頭を悩ませます。近隣事例比較法により一宅地の相場はある程度把握できるのですが、分譲業者さんによって得意とする区画割や造成の仕方が違うので、買取価格に大きな差が出ることがあるためです。

数年前に取引させて頂いた刈谷市の土地では、二方向道路で四角形にもかかわらず、買取価格の一番低い業者さんが7000万円で一番高い業者さんが11000万円でした。
これは常にどこかの分譲業者さんが高く購入してくれるという訳ではなく、前述した様に業者さんによって得意不得意があるためです。

不動産業者に頼むと、仲介手数料が取引価格の3%+6万円かかるので、直接、分譲業者さんや土地の買取業者さんに売却したいと思われる方もいらっしゃると思いますが、市場の上限価格で売却できるとは限りません。
ましてや一般の方とプロの取引なのでなおさらです。


2018年09月14日

資産家通信㉗ 一物四価

一物四価とはひとつの土地に4つの評価が存在することを言います。
(1)公示地価    :公的収用や民間取引の基準(国交省)
(2)路線価     :相続税評価(国税庁)
(3)固定資産税評価額:固定資産税評価(総務省)
(4)実勢地価    :取引時価

この評価の違いは気をつけないと大きな失敗を招きます。例えば、相続税を節税するための対策は、もちろん相続税評価で考えますが、相続税評価が下がったとしても、時価まで下げてしまう対策があります。優先すべき相続税の納税対策は時価評価で準備しなければいけないので節税対策にはなったが、納税できないという可能性もあります。
この観点から、私は不動産取引時価がもっとも重要だと考えており、不動産の取引時価のもっとも近くにいる不動産業者として、相続コンサル、資産コンサルを行っています。

他の士業の方のコンサルとの違いとしては下記3点を重視していることです。
(1)不動産の時価
(2)不動産運用のキャッシュフロー(賃貸経営、生前の生活)
(3)付言(大切なものは何か考えていただく)




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