2023年02月14日

2023税制改正の暦年贈与に関しての実務的見解

2023税制改正の暦年贈与に関しての実務的見解 こんにちは。野村開発株式会社資産コンサルティング家 山本です。
ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
2023年4月22日(土)開催予定のセミナーに向けて、皆さまに知っていてほしいことをお伝えしてまいります。

まず現行の暦年贈与の概要をまとめると、
(1)110万円まで贈与税がかからない
(2)ただし、「相続3年以内」の贈与は相続財産として加算される
(3)ただし、「相続などにより財産を取得しない人への贈与は加算されない」

今回改正予定は、(2)の「相続3年以内」が「相続7年以内」に改正される予定です。(1)はみなさんよくご存じで、110万円の贈与をしていると良くお聞きします。また、3年間生きてられるか分からないから贈与しないというお話も聞きます。これが7年となるとさらに使い勝手が悪くなりそうです。ただし、現行の税法でもある(3)の「相続などにより財産を取得しない人への贈与は加算されない」ということをご存じでない方も多いようです。つまり、相続人である子への3年以内の贈与(今後7年以内)は相続財産へ加算されますが、相続人ではない孫やお嫁さんへの贈与は相続財産へ加算されないということです。

たとえば、昨今、大学費用を奨学金で借りて返済が大変だという話をよく耳にします。80歳の方の相続対策として、50歳の子、20歳の孫がいる方を想定した場合、お孫さんの大学費用を負担してあげるという考えはどうでしょうか?この場合、暦年課税としてお孫さんに資金を贈与しても相続財産として加算されません。もっと言うと教育費を実費で負担した場合、通常必要と認められる生活費や教育費については基本的に贈与税自体が非課税です。

逆に、大きな資産を渡すことで人を不幸せにしてしまうこともあります。よくあるのが若いうちに資産を得たことで散財してしまったり、働かなくなってしまったりというものです。相続対策の世界ではこういったモラルハザードがたびたび話題となります。

先祖伝来の資産を、どの様な形で、どのタイミング、誰に渡すと、その人にとって価値があるか、承継していけられるかということを考え、方向性を決めることは、相続税の節税や不動産の最有効利用の追求より大事なことです。

前述した大学費用を負担するために、先祖伝来の土地を売却するというのはどうでしょうか?これには賛否両論あると思います。そして正解はありません。各々の家族で答えを出すしかないわけです。そして、家族全員が満足できる答えを出すことも、完全にベストだと言える答えを出すこともできないでしょう。この判断が先祖、子々孫々を考えてベターなのではないかという答えを探し、判断する。これが相続対策です。税金対策や不動産の活用はこの答えを実現させるための補助でしかありません。

この答えを探すきっかけとして、「付言から始める相続対策セミナー」を始めさせていただきました。付言とは遺言に付け足す気持ちのことです。

贈与に関して、補足すると、「暦年課税」と「相続時精算課税」は選択制です。今までは「相続時精算課税」に相続税の節税メリットがほぼ無かったため選択されることがあまりありませんでしたが、今回の改正でかなり使い勝手が良くなります。このあたりのお話は、4月22日開催予定のセミナーで共同講師をしていただく税理士法人スマッシュ経営の石井先生からお話しいただけると思いますのでぜひご参加ください。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
セミナーのご参加、お待ちしております。
ご質問や個別相談も無料で承ります。
お気軽にご連絡ください。
野村開発株式会社 山本令祐

付言から始める相続対策セミナー
日程:2023年4月22日(土)10:00より
会場:知立市商工会館2階大ホール
※一部お渡ししているパンフレットには、知立市中央公民館と表記がございますが、
都合により、知立市商工会館に変更いたしました。
お間違えのないよう、ご確認の上お越しください。
お申込み等詳細はこちらをご覧ください。


2022年12月12日

駐車場付与率における空室率

この地域において、賃貸物件の入居率は駐車場の確保数にかなり影響を受けます。しかし、駐車場を確保することは同時に賃貸物件の収益性に影響を及ぼすため、昨今の新築提案では駐車場の台数がきちんと確保できていないものをしばしば見受けられます。十分な駐車場が確保できていない収支計画は絵に描いた餅となりうるので十分注意してください。また、お持ちの賃貸物件においては駐車場をきちんと確保するようにしましょう。

下記は、コンサルティング部門で調査した際のデータです。

賃貸住宅における駐車場付与率(1戸あたりの駐車場台数)における空室率の推移

          空室率
0.5台未満     12.24%
0.5-1.0台未満     8.19%
1.0-1.5台未満           5.64%
1.5-2.0台未満           2.82%

われわれとしては、駐車場付与率を単身なら100%、ファミリーなら150%以上をご提案しております。


2022年10月29日

テナントリテンション

この地域の賃貸物件におきましては、ここ10年、賃貸借契約の初期費用を抑えるために、礼金といものがほとんどもらえなくなり、この文化がこのまま消滅するのかと思いましたが、最近、築浅、好立地物件で少しづつ息を吹き返しているようです。大家さんにとっては入退去時の収入が少し増えるという傾向で喜ばしいことですが、昔の退去時の様に、敷金礼金をもらっていて、原状回復費用の大部分を借主さんが負担してくれて、入退去があると大家さんは収入が増えるかもみたいな状態とは程遠く、退去があればほとんどの場合、大家さんの出費はかさみます。

また、社会的ニーズは年々高まっていきます。例えば、「チャイム→インターホン→モニター付きインターホン」みたいな感じで賃貸物件の全ての設備のスタンダードがどんどん上がっていくので、既存入居者さんが退去されるとこういった設備の交換や追加にもお金がかかります。

こうした状況の中で「テナントリテンション」というものが、より効果を高めています。テナントリテンションとは日本語で「入居者保持」と言い、あまりしっくりこないかもしれませんが、これも営業手法の一つとなります。空室になってしまった部屋に何とか入居してもらおうとがんばる営業ではなく、既存の入居者の満足度を上げ、長期で住んでもらうことで、転居時の補修費を抑え、空室損を抑えることによって安定的な収益を確保します。

具体的には、外壁塗装等の定期メンテナンスをきちんと行った上で、定期清掃を増やしたり、入居中のお部屋だとしてもインターホンをモニター付きに変更したり、宅配ボックスをつけてあげたりします。

常々お話ししているように賃貸物件は、ほったらかしの「運用」で長期にわたってうまくいった時代から、適宜、適切な判断をしないと長期的にうまくいくことが難しい「経営」となりました。

所有されている賃貸物件は、確かに以前は支出を抑えることで手残りを増やせました。しかし、今は、安定的に収益を確保するために適宜投資判断が必要です。そして、その資金を準備しておくために長期運用計画が必要です。


2022年04月25日

地主さんが法定相続分について考えること〈後編〉

地主さんが法定相続分について考えること〈後編〉 今日は先日お話した分割に関しての実務的な問題点の後編をお話しします。

令和の時代はすべてが平等です。跡継ぎ以外の子どもさんからは、男女差や出生順などいつの時代の話だと云わんばかりの主張をされます。跡継ぎさんの難しい立場について、考えました。
前回は、跡継ぎさんの未来のことについてお話ししました。今回は、同じく跡継ぎさんの過去についてとその考え方についてお話をします。

跡継ぎさんの「過去の時間、労力」に関して
親が高齢になると、相続前に前述した地元のお付き合い等は相続前に引き継がれている場合が多いです。また、同居の苦労もあります。実務において意外と多い不満が、「旅行に行けなかったこと」です。同居している親が高齢になり、体が不自由になってくると遠出しにくくなります。例えば60歳定年時に、親が80歳、それから20年近く行動が制限され、相続の際には自分が遠出するのが大変になる。独立した兄弟は好き勝手いろんな場所に出かけていた。些細なことに感じるかもしれませんがこの様なことの積み重ねが相続争いの原因となります。「家」を守るために費やした時間や労力を軽視するべきではありません。これは「法定相続分」には考慮されません。

跡継ぎさんの「過去のお金」に関して
跡継ぎさんが同居されている場合、共同でお金の管理をされている場合があります。生活費、医療費、介護費等が親子双方の財布から出し入れされている場合や不動産運用の資金管理を子どもさんに任せている場合がありますが、相続では明確に個人ベースで資産を分ける必要がありますので注意が必要です。
賃貸物件の大規模修繕用に資金を積み立てていたとしても、法定相続分で分割となると、跡継ぎが賃貸物件を相続した場合、大規模修繕用の資金は別の子に相続させなければならなくなり、安定的な賃貸物件の運用ができなくなってしまう場合があります。

少し詳しい方は、「特別寄与料」という言葉をご存じかもしれません。これは、「亡くなった方に対して、介護などの労務を提供していた親族が相続人に、その寄与に応じて請求できる金額」のことですが、実務において、「特別寄与料」という言葉がでてきた時にはすでにモメにモメている時です。また、第三者が、各々が納得できるような算定はできません。

跡継ぎ以外の子どもさんからしたら、「同居していて金銭的な援助も受けていただろう」という意見が出ることもあります。そしてまさにその通りな場合も多いです。

各々の「家」はすべて違い、第三者が算定することはできません。そのため被相続人である親が上記のようなことを考慮し、資産の分け方を決めておく必要があります。

相続に「たては〇、よこは×」というものがあります。これは、2人いる親のうち、1人目の親が亡くなった場合の相続は、もう一方の親がある程度相続を仕切るためモメにくいが、最後の親が亡くなる際の相続は、子ども同士での話し合いになるのでモメやすいというものです。家系図で見て、上の代の親と下の代の子がいる相続はモメにくいが、同列で横並びの子ども同士での相続はモメやすいということです。
乱暴な言い方をするならば、親が決めたことなら、完璧でなくともある程度みんな従うということです。

不完全な内容でも、一生懸命に考えていただくことが相続対策で最も重要な子どもさんを争わせない対策である分割対策となりえます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
こういったコンセプトで始めた「付言から始める相続対策セミナー」はコロナを理由にずっと延期してしまっていますが、みなさんはぜひ考え、伝えてください。必要であれば、個別にご相談させていただきます。ームページからでも承ります。ブログも更新中です!そして、動画も配信しています。まだ少しづつですが、基本的なことからわかりやすく図解を交えてお話しています。よかったら観てください。

 


2022年04月23日

地主さんが法定相続分について考えること【前遍】

地主さんが法定相続分について考えること【前遍】

相続対策の優先順位は、「(1)分割、(2)納税、(3)節税」だと何度もお伝えしてきましたが、本日は、分割に関しての実務的な問題点をお話しします。

法定相続分」とは、民法で定められた相続人が取得する相続割合のことです。子どもであれば平等に分けるというのが原則です。

この平等に分ける「法定相続分」という法律と、地主さん特有の先祖伝来の「家を守る」「跡を継がせる」という感覚のギャップが、しばしば相続争いの原因となります。

跡継ぎ以外の子どもさんが、「みんな同じ子どもなんだから平等に分けよう。法律でも決まっているし。」という主張はごもっともです。

それでは、法定相続分以上に取り分を主張する地主さんの跡継ぎは欲張りなのでしょうか。

不動産はお金と違って細かく分けられないので相続争いの原因となるというお話は、今回は置いといて、「跡継ぎ」という観点でお話しします。
 

跡継ぎさんの「未来の時間、労力」に関して
墓守、地元のお寺、神社のお世話、村のお世話、地元のお付き合い、親戚づきあい。これを跡継ぎに引き継がせた場合は、相続後も跡継ぎさんは時間や労力的な負担を担っていくことになります。
引き継がれてきた「大きな自宅」や「習慣・伝統」を今後も継続させていくなら、やはりある程度、跡継ぎに資産を寄せる必要があります。大きな自宅や伝統等も相続を考える上で重要なポイントとなりますので、「どの様なものを、どれくらい引き継がせるか」考えておく必要があります。

跡継ぎさんの「未来の時間、労力」に関して
まず自宅が維持していけるかという問題があります。地主さんのご自宅は大きい場合が多く、固定資産税、光熱費、修繕費、剪定等の管理費等の固定費が高く、これを不動産の運用益からまかなっている場合がほとんどです。相続で収益物件が無くなってしまった場合、後継ぎは今までの生活が継続できなくなってしまう場合があります。
また、不動産運用が一定の規模以上になると、会社経営に似た側面を持ってきます。いくつかを持っていることで補完しあって、安定を保っています。例えば、収入が多い借入のある賃貸物件と収入が少ない駐車場です。相続税の納税資金が確保できない場合や賃貸物件の借り入れの返済が滞った場合は、換金性の高い不動産である駐車場を売却することによって「家」を守ります。これが相続の際、収益の少ない駐車場だけでは「家」を維持していくことが困難になってしまったり、借入のある賃貸物件だけになってしまうとこの運用が上手くいかなくなると「家」自体が破綻してしまったりする可能性があります。


後編へ続く・・・
 今回は、跡継ぎさんの未来のことについてお話ししました。次回は、同じく跡継ぎさんの過去についてとその考え方についてお話をします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
こういったコンセプトで始めた「付言から始める相続対策セミナー」は、コロナを理由にずっと延期してしまっていますが、みなさんはぜひ考え、伝えていただきたいと思います。必要であれば、個別にご相談させていただきます。ホームページからでも承ります。ブログも更新中です!そして、動画も配信しています。まだ少しづつですが、基本的なことからわかりやすく図解を交えてお話しています。よかったら観てください。




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