2023年01月27日

2023年4月22日相続対策セミナーに向けて その1

こんにちは。野村開発株式会社資産コンサルティング家 山本です。
ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
2023年4月22日(土)開催予定のセミナーに向けて、皆さまに知っていてほしいことをお伝えしてまいります。

第1回目は相続税の優先順位についてです。


相続対策の優先順位は、「分割・納税・節税
相続対策と言えば、相続税の「節税対策」と思われがちですが、相続対策には、「分割対策(争続対策)」、「納税対策」、「節税対策」があり、相続対策の優先順位で言うと、「節税対策」は最後です。
相続税が節税になっても、納税できなければ失敗ですし、節税できたとしても、家族がケンカになってしまっては相続対策失敗です。
特に不動産における相続税の「節税対策」では、これを優先することにより、売却できず、納税資金及び分割調整資金を確保できなくなってしまったり、分けられなくなってしまうことで、争いの原因となってしまったりすることがあるため注意が必要です。


付言から始める相続対策セミナー
日程:2023年4月22日(土)10:00より
会場:知立市商工会館2階大ホール
  ※一部お渡ししているパンフレットには、知立市中央公民館と表記がございますが、
   都合により、知立市商工会館に変更いたしました。
   お間違えのないよう、ご確認の上お越しください。

お申込み等詳細はこちらをご覧ください。
 


2022年04月25日

地主さんが法定相続分について考えること〈後編〉

地主さんが法定相続分について考えること〈後編〉 今日は先日お話した分割に関しての実務的な問題点の後編をお話しします。

令和の時代はすべてが平等です。跡継ぎ以外の子どもさんからは、男女差や出生順などいつの時代の話だと云わんばかりの主張をされます。跡継ぎさんの難しい立場について、考えました。
前回は、跡継ぎさんの未来のことについてお話ししました。今回は、同じく跡継ぎさんの過去についてとその考え方についてお話をします。

跡継ぎさんの「過去の時間、労力」に関して
親が高齢になると、相続前に前述した地元のお付き合い等は相続前に引き継がれている場合が多いです。また、同居の苦労もあります。実務において意外と多い不満が、「旅行に行けなかったこと」です。同居している親が高齢になり、体が不自由になってくると遠出しにくくなります。例えば60歳定年時に、親が80歳、それから20年近く行動が制限され、相続の際には自分が遠出するのが大変になる。独立した兄弟は好き勝手いろんな場所に出かけていた。些細なことに感じるかもしれませんがこの様なことの積み重ねが相続争いの原因となります。「家」を守るために費やした時間や労力を軽視するべきではありません。これは「法定相続分」には考慮されません。

跡継ぎさんの「過去のお金」に関して
跡継ぎさんが同居されている場合、共同でお金の管理をされている場合があります。生活費、医療費、介護費等が親子双方の財布から出し入れされている場合や不動産運用の資金管理を子どもさんに任せている場合がありますが、相続では明確に個人ベースで資産を分ける必要がありますので注意が必要です。
賃貸物件の大規模修繕用に資金を積み立てていたとしても、法定相続分で分割となると、跡継ぎが賃貸物件を相続した場合、大規模修繕用の資金は別の子に相続させなければならなくなり、安定的な賃貸物件の運用ができなくなってしまう場合があります。

少し詳しい方は、「特別寄与料」という言葉をご存じかもしれません。これは、「亡くなった方に対して、介護などの労務を提供していた親族が相続人に、その寄与に応じて請求できる金額」のことですが、実務において、「特別寄与料」という言葉がでてきた時にはすでにモメにモメている時です。また、第三者が、各々が納得できるような算定はできません。

跡継ぎ以外の子どもさんからしたら、「同居していて金銭的な援助も受けていただろう」という意見が出ることもあります。そしてまさにその通りな場合も多いです。

各々の「家」はすべて違い、第三者が算定することはできません。そのため被相続人である親が上記のようなことを考慮し、資産の分け方を決めておく必要があります。

相続に「たては〇、よこは×」というものがあります。これは、2人いる親のうち、1人目の親が亡くなった場合の相続は、もう一方の親がある程度相続を仕切るためモメにくいが、最後の親が亡くなる際の相続は、子ども同士での話し合いになるのでモメやすいというものです。家系図で見て、上の代の親と下の代の子がいる相続はモメにくいが、同列で横並びの子ども同士での相続はモメやすいということです。
乱暴な言い方をするならば、親が決めたことなら、完璧でなくともある程度みんな従うということです。

不完全な内容でも、一生懸命に考えていただくことが相続対策で最も重要な子どもさんを争わせない対策である分割対策となりえます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
こういったコンセプトで始めた「付言から始める相続対策セミナー」はコロナを理由にずっと延期してしまっていますが、みなさんはぜひ考え、伝えてください。必要であれば、個別にご相談させていただきます。ームページからでも承ります。ブログも更新中です!そして、動画も配信しています。まだ少しづつですが、基本的なことからわかりやすく図解を交えてお話しています。よかったら観てください。

 


2022年04月23日

地主さんが法定相続分について考えること【前遍】

地主さんが法定相続分について考えること【前遍】

相続対策の優先順位は、「(1)分割、(2)納税、(3)節税だと何度もお伝えしてきましたが、本日は、分割に関しての実務的な問題点をお話しします。

法定相続分」とは、民法で定められた相続人が取得する相続割合のことです。子どもであれば平等に分けるというのが原則です。

この平等に分ける「法定相続分」という法律と、地主さん特有の先祖伝来の「家を守る」「跡を継がせる」という感覚のギャップが、しばしば相続争いの原因となります。

跡継ぎ以外の子どもさんが、「みんな同じ子どもなんだから平等に分けよう。法律でも決まっているし。」という主張はごもっともです。

それでは、法定相続分以上に取り分を主張する地主さんの跡継ぎは欲張りなのでしょうか。

不動産はお金と違って細かく分けられないので相続争いの原因となるというお話は、今回は置いといて、「跡継ぎ」という観点でお話しします。
 

跡継ぎさんの「未来の時間、労力」に関して
墓守、地元のお寺、神社のお世話、村のお世話、地元のお付き合い、親戚づきあい。これを跡継ぎに引き継がせた場合は、相続後も跡継ぎさんは時間や労力的な負担を担っていくことになります。
引き継がれてきた「大きな自宅」や「習慣・伝統」を今後も継続させていくなら、やはりある程度、跡継ぎに資産を寄せる必要があります。大きな自宅や伝統等も相続を考える上で重要なポイントとなりますので、「どの様なものを、どれくらい引き継がせるか」考えておく必要があります。

跡継ぎさんの「未来の時間、労力」に関して
まず自宅が維持していけるかという問題があります。地主さんのご自宅は大きい場合が多く、固定資産税、光熱費、修繕費、剪定等の管理費等の固定費が高く、これを不動産の運用益からまかなっている場合がほとんどです。相続で収益物件が無くなってしまった場合、後継ぎは今までの生活が継続できなくなってしまう場合があります。
また、不動産運用が一定の規模以上になると、会社経営に似た側面を持ってきます。いくつかを持っていることで補完しあって、安定を保っています。例えば、収入が多い借入のある賃貸物件と収入が少ない駐車場です。相続税の納税資金が確保できない場合や賃貸物件の借り入れの返済が滞った場合は、換金性の高い不動産である駐車場を売却することによって「家」を守ります。これが相続の際、収益の少ない駐車場だけでは「家」を維持していくことが困難になってしまったり、借入のある賃貸物件だけになってしまうとこの運用が上手くいかなくなると「家」自体が破綻してしまったりする可能性があります。


後編へ続く・・・
 今回は、跡継ぎさんの未来のことについてお話ししました。次回は、同じく跡継ぎさんの過去についてとその考え方についてお話をします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
こういったコンセプトで始めた「付言から始める相続対策セミナー」は、コロナを理由にずっと延期してしまっていますが、みなさんはぜひ考え、伝えていただきたいと思います。必要であれば、個別にご相談させていただきます。ホームページからでも承ります。ブログも更新中です!そして、動画も配信しています。まだ少しづつですが、基本的なことからわかりやすく図解を交えてお話しています。よかったら観てください。


2021年10月01日

No.4 どれだけ相続税を適性に怖がればいいか

古くなってきたアパートで考えること

No.4 どれだけ相続税を適性に怖がればいいか

相続税を払う覚悟、できますか?

地主さんの相続税の節税対策において、相続税も必ず返さないといけない借金と考えた場合、「将来やってくる500万円の借金(相続税)のために、今5000万円(建築費)の借金をしても良いのか」という論点がつきまといます。
これは前回お話しした「運用の健全性を確保」するということではありますが、20年30年の長期で考えた場合、不確定要素が多く、必ず上手くいくとは限りません。また、借入をすることによる資金繰りの複雑化、賃貸物件を建築することによる分割性、換金性の喪失は遺産分割の柔軟性を失わせるだけでなく、所有している方の生活のゆとりや穏やかさを奪い、生活を拘束しえます。
そうであるならば、一定の相続税の納税を覚悟することが、ご自身や次世代の生活を豊かに、また、自由にする秘訣となりえます。
これは、私の経験による個人的な意見ですが、「相続税額で1000万円程度まで、相続税率で10数%程度までの場合」は、多額の借り入れをして相続税の節税を考えるより、まず、いかに納税するかを考えた方が上手くいくように思います。
これを受け入れることができれば、ややこしいことをしないで済むと思いますが、多くの地主さんは相続税を過剰に恐れています




 

No.4 どれだけ相続税を適性に怖がればいいか これは国税庁が出している相続税の早見表によるところもあるでしょう。資産額1億円ですと、該当する欄を見ると、税率30%となっています。ここだけ見ると、3000万円支払わなければならないと不安になってしまいます。

具体的に計算してみましょう

しかし、実際は資産1億円のご主人が亡くなった場合、奥様、子どもさん2人が相続人とし、また奥様に遺産の半分を相続させるとすると、ご主人の相続時(一次相続)に税額は約320万円、次に奥様が亡くなられ相続されると(二次相続)約80万円、2回の相続時合計約400万円の相続税で、子どもさん2人に資産が引き継がれます。税率にすると4.0%です。

 

No.4 どれだけ相続税を適性に怖がればいいか

No.4 どれだけ相続税を適性に怖がればいいか では、具体的にどうしたらいいの?

一度、ご資産の内容の確認、ご家族の環境や特例をきちんと反映させて相続税の試算をしてみてはいかがでしょうか。よくある無料試算というものでは、税額は高く出る傾向があります。「むやみやたらに相続税を恐れず、数字で把握して、許容できるものなら支払う覚悟を決める」ことで、よりシンプルで、訳の分からないことで悩まないで済む道が開けるかもしれません。


2021年08月01日

No.2 建て替えした方が良いかも

古くなってきたアパートで考えること

No.2「次世代の方が建築する際の相続税より重要なこと」

前回、「(1)建替えしない方が良いかも」というお話をしました。
今回は建替えした方が良い場合のお話をします。
結論、「次世代の方が建て替えるなら、相続前に建て替えた方が良い」です。
理由は、まさに王道ですが、相続前に建て替えれば「相続税の節税」になるからです。建て替えるなら相続前に建て替えなければ損です。賃貸物件建築の大きな長所をムダにしてしまいます。
前回の賃貸物件の消費期限のお話しの中で返済が終了しても賃貸物件の消費期限が切れたわけではなく価値は残っているとお伝えしましたが、残念ながら建物は永久に持つわけではありません。
建物の状況や自分の人生、次世代の意向を加味しつつ、建て替えをするのであれば「いつにするのか」ということをある程度決めておくことで有効的な対策ができます。状況によってはかなり相続税の節税になる場合があります。

 

No.2 建て替えした方が良いかも 選択肢はこれだけあります。

築古物件をお持ちのオーナーさんは次の項目に従って、今後どうするかを、次世代の方と考えてみると良いかもしれません。

● 「自己利用」「売却」の可能性がある場合は建て替えしてはいけません。
40年くらい賃貸物件を継続することが前提となります。前回お話ししたように借入期間30年で、すぐに解体だともったいないことが多いので40年くらいは見といた方が良いです。(私は築30年に満たない物件を解体し、売却したことがありますが、、、理由は機会があれば、、、)

● 自己利用しない、売却しない「=(イコール)建築」ではありません。
みなさん、次世代の方のライフプランを考慮して、他の選択肢も検討してみましょう。ただし、基本的には、解体して何もしないというわけにはいきません。不動産は持っているだけで固定資産税や維持管理費がかかるため、どう活用するかを検討する必要があります。 
活用方法としては主に4つ、(1)駐車場、(2)一般定期借地、(3)事業用定期借地、(4)アパート建築、(5)現状維持。この中でご自身と次世代の方のライフプランに合った活用方法を選択してください。相続税の節税を優先すると、せっかくの資産がご自身、次世代の方の負担となりかねません。


その選択肢の特徴、詳しくお話します

駐車場:自己利用、売却の可能性があるなら駐車場。
   
活用すると、換金性や分割性、自己利用が長期にわたり阻害されるのが不動産の欠点ですが、
   不動産活用で唯一、これらが阻害されません。ただし、良く言われるように固定資産税が
   高くなります。多くの場合、1/3くらい稼働しないと赤字になります。

一般定期借地:主に個人の方が自宅を建築するために土地を貸すこと。
   地代は高くありませんが安定した収入となり、維持管理も楽です。ただし、借地借家法上、
   50年以上の借地期間が必要なため、50年間、次の世代、もしかしたらその次の世代含め
   て、自己利用、売却をしないということが前提となります。

事業用定期借地権:主に商業系建物を建築するために土地を貸す方法。
    借地借家法上、10年以上の借地期間で良いため、比較的、拘束力が無い状態で活用する
       ことができます。しかし、商業目的の需要に応えるためには、一定規模の広さの土地が
       必要でロードサイドなど土地としての条件が限られます。

賃貸住宅建築:売却という選択肢がない場合、居住系の土地を維持していくベストな
      運用方法
となりえます。また、相続税を節税することもできます。 ただし、借入期間を
      通して賃貸経営がきちんと回ることが重要です。

良く分からない場合、「期限付き現状維持」という選択肢も。
借入を完済されると何かしなくてはと思われる方もいるようですが、現状維持で問題なければ問題ありません。ただし、前ぺージ図解の様に「築年数」、「自分の年齢」、「次世代の方の年齢」を加味して、何年くらいは現状維持しようと決めておくことが重要です。そして、その間の変化に応じて考えていけばいいわけです。中途半端なようですが、自己利用、売却等への方向転換も可能で、フットワークを保った選択肢です
さらに、現状維持と決めたなら、10年くらいの計画でリノベーションや設備交換計画を立てておいた方が良いです。たとえば、築30年の物件を築40年まで、つまりあと10年くらい持たせようと考えた場合、現時点でキッチンが微妙な場合、早めに取り換えた方が良いです。粘って築35年時に交換しても、新しいキッチンは5年使用で解体となってしまいます。古くなってくるとお金をかけたくなくなるのは分かりますが、維持すると決断した以上、維持コストは覚悟しましょう。一通りの設備交換が終わるまで設備交換等の資本的支出が発生します。維持コストがかかったとしても、返済が終わっていればある程度の手残りは確保できるはずです。また、物件の質を一定に保つために何部屋かのリノベーションを検討するのも良いでしょう。築古物件はスラム化させないことが重要です。定期メンテナンスをしっかり行い、新しい物件より維持管理を手厚くしましょう。

どれかひとつにする必要はないんです!

実際、私がコンサルティングさせていただく際は、複合案になることが多いです。一部を売却して、一部に建築する等、活用方法を組み合わせて、賃貸運用のリスク回避、相続のための納税資金や分割資金の確保等、地主さん、次世代の方のライフプランやご希望に合わせてご提案させていただくことが多いですが、ご家族でどの様な方向性にするか考えておく必要があります。
もうすぐお盆です。この機会に次世代の方とお話しされてはいかがでしょうか?


 




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